TC 250

エンジン

TC 250のエンジンは、2ストロークのパフォーマンスの頂点に立ち、53 PSの出力を発揮し、かつその重量はわずか23.9 kgです。最新の技術的イノベーションが詰め込まれたTC 250は、フューエルインジェクション(EFI)が搭載されており、ランニングコストを削減し、噴射を交換する必要がなく、信頼性が向上しています。この人気の高いモデルはセルスターターの追加により、さらにシンプルになり、あらゆる条件下で素早い始動が可能です。

シリンダー

シリンダーは口径66.4 mmとなっており、フューエルインジェクションが導入されたことで、パワーバルブは電子エキゾースト制御システムに置き換えられました。高い革新的な技術を使用することで、メインのエキゾーストポートが開く前に横方向のエキゾーストポートが開き、強力で制御可能なパワーを提供します。エキゾーストポートの上部の外形は機械加工で仕上げられ、ポートのタイミングが向上し、比類ない性能が提供されるようになりました。

クランクシャフト

クランクシャフトは軽量化を念頭に設計され、スロットルレスポンスが向上しました。クランクシャフトフライホイール、ローター、カウンターバランサーシャフトの重量のバランスを図ることで、回転質量の完璧なバランスを実現しました。

クランクケース

高圧鋳造生産プロセスにより、クランクケースは薄壁で製造され、総重量は最小限で、シャフトを完璧な位置に配置できたため、最適な質量集中化が実現されました。このスマート設計により、TC 250の全体的なバランスと俊敏性が向上し、対称のエンジンマウントによりシャシーの屈曲特性がさらに改善されました。

カウンターバランサーシャフト

TC 250には革新的な水平装着型のカウンターバランサーシャフトを装備しています。これにより、エンジンの振動を大幅に低減し、滑らかで快適な乗り心地を実現しました。

DDSクラッチ

TC 250には従来のコイルスプリングに代わって1枚のスチール製ダイヤフラムプレッシャープレートが採用されたユニークな設計が特長の減衰ダイヤフラムスチール(DDS)クラッチが装着されています。CNC機械加工スチール製ドラムの中に格納されたクラッチ全体のデザインは、コンパクトなエンジンレイアウトに貢献し、ダンピングシステムを搭載したことで、トラクションと耐久性を向上しています。

トランスミッション

TC 250の5速トランスミッションはPankl Racing Systemsによる特製品で、最高レベルの耐久性を提供し、滑らかで正確なシフト切り替えを可能にします。さらに、ギアレバーの先端が改良され、レバー動作が改善したことで、過酷な条件下でも泥の堆積を防げます。

クロームモリブデンフレーム

2025年モデルでは、フレームのショックマウントとステアリングヘッドの周辺部で軽量化および高応力部分の肉厚の変更を実施し、全体的な強度を向上させています。これらの変更によりフレーム重量は300 g軽くなり、コーナリング挙動、ライダーへのフィードバック、エネルギー吸収力、直進安定性がさらに高まりました。このフレームは上質なメタリックブルーの粉体塗装で仕上げられ、フレームプロテクターの装着によってしっかりと保護され、耐久性が向上し、あらゆる状況下でグリップしやすくなっています。

ポリアミド補強アルミニウム製サブフレーム

ポリアミド60%、アルミニウム40%で作られた2ピースサブフレームは、総重量はわずか1.8 kgあまりで優れた強度と耐久性を実現しています。下部サブフレームのスパーとフレームマウントは鋳造アルミニウム製のため、信頼性が著しく向上しました。サブフレームの上部は射出成形ポリアミド製のため、特定の屈曲特性に対応でき、軽量構造となっています。

トリプルクランプ

フレーム設計やサスペンションセットアップと連携したCNC加工トリプルクランプは、精密に計算されたジオメトリが安定性を向上しています。ハンドルバークランプによりハンドルバーの屈曲特性がカスタム化されています。ハンドルバークランプの取り付けには、振動の少ないゴム減衰型とフロントエンドのフィードバックを強化した固定型の2種類があります。上部トリプルクランプはより硬くなったため、滑らかなフォーク動作を確実にし、フロントホイールの完璧な位置合わせにおいて重要な役割を担っており、優れたハンドル操作を提供します。

WP製XACTフロントサスペンション

48 mmのWP XACT-AERフォークは、2025年モデルでは新しいフレームに対応するために改良され、軽量化を果たし、かつ柔軟性を向上させています。クローズドカートリッジシステムとして設計されたこのフォークは、カプセル化された調整可能なエアスプリングと加圧オイル室を備え、滑らかな動作と一貫したダンピングを提供します。オイルとエアのバイパスが圧力ピークを軽減し、ミッドバルブダンピングシステムと、トラベルの最後の40 mmで漸進的なダンピングを加えるハイドロストップとの組み合わせにより、フォークはライダーに正確なフィードバックを提供します。セッティングは、シングルエアプレッシャープリロードバルブとコンプレッションおよびリバウンド用の簡易アクセスクリッカーを使って簡単に調整できます。エアスプリングの圧力を調整するためのポンプが、各車両に付属しています。

WP製XACTショックアブソーバー

アップデートされたフレームに合わせて改良を受け、軽量化されたWP XACTリアショックは、293 mmのトラベルを提供します。内部には、数値流体力学（CFD）を用いて最適化されたメインピストンを備え、初期入力に対応する快適性が向上し、かつあらゆる状況で強力な踏ん張りを提供します。リンケージシステムも、低摩擦のシールと軽量なリンケージボルトの採用によりアップデートされています。リバウンドおよび高速側と低速側のコンプレッション設定を手で簡単に調整可能で、セットアップの変更を素早く行うことができます。

スイングアーム

スイングアームはダイキャスト製法により製造されたもので、最適な剛性を確保しています。新しいシャシーの屈曲特性を最適化し、適応させるため、22 mmのリアアクスルを採用しています。さらに、改良型チェーンスライダーは耐久性が向上し、またチェーンガイドは外部の物体を引っ掛けにくいように設計されています。

機能的なボディワーク

新しいボディワークは、ライダーが長時間にわたって最高のパフォーマンスを発揮できるように設計されています。長時間のテストと改良を経て、ライダートライアングルの接触ポイントと面積が大きくなり、快適性が向上し、疲労の軽減に貢献しています。より高く広くなったシートはスムーズな動きを妨げることなく、また改良されたタンクシュラウドとグリップ力の高いカバーにより、ライダーは強く加速するときもしっかりと姿勢を維持できます。

エアボックス

流入経路を最適化した設計の堅牢な一体型エアボックスにより、空気の流れを妨げることなく吸気を導き、フィルターもしっかりと保護されます。Twin Airフィルターは、左サイドパネルを外すだけで、工具なしで容易にアクセスできるため、メンテナンスが容易です。

油圧式クラッチ

高品質のBrembo油圧式クラッチシステムは、均一な摩耗、ほぼメンテナンスフリーな動作、あらゆる状況下での完璧な動作を保証します。この油圧システムによって、遊びが一定に補正され、温度の高い/低い、および長時間の使用に関わらず、クラッチの圧力点と機能が同じに保たれます。レースを中心とした長時間のテストにより、高品質なイタリアのBrembo製油圧システムの卓越した信頼性が証明されました。

油圧式ブレーキ

クラス最高レベルのBrembo製ブレーキキャリパーは、一塊のアルミニウムから製造されており、最低限の重量で優れた強度を実現し、最高水準の品質を保証します。泥の蓄積を防ぐように設計された260 mmのフロントディスクと220 mmのリアディスクの組み合わせによって、あらゆる状況でも優れた制動力とブレーキの信頼性が得られます。2025年モデルでは、強度を高めた新しいリアブレーキペダルが優れた耐久性を発揮し、安定したブレーキパフォーマンスに貢献します。

ProTaperハンドルバー

Husqvarna Motorcyclesと大手ハンドルバーメーカーにより開発されたProTaperは、独自の屈曲率により優れた快適さ、トップクラスの強度、耐疲労性を最小限の重量で提供します。

ODI製グリップ

ODI製のロックオングリップには、革新的な統合スロットルメカニズムが採用され、接着剤なしで取り付けされています。スロットルアセンブリは、簡単なフリープレイ調整となっており、代替のカムを装着し、スロットル動作をカスタマイズするオプションもあります。

フットレスト

CFDデザインのフットレストが幅広になったことで、マシンのコントロール性能が高まると同時に、深い轍やスクラブ時のジャンプ、コースサイドの障壁などに引っかかりにくくなっています。これは、フレームレイアウトの細型になった取り付け設計によって実現しており、全体的な重量の軽減にも貢献しています。

ホイールとタイヤ

CNC加工のハブ、軽量スポーク、D.I.D製のブラックアルマイト仕上げで強靭な合金リムにより構成されるTC 250のホイールは、高い強度を備え、バネ下重量を最小限に抑えています。タイヤは新たにDunlop Geomax MX34モトクロスタイヤを装着し、その定評ある2段ステップブロック形状が、あらゆる路面で優れたコントロール性とグリップ能力を発揮します。

エギゾーストシステム

TC 250のヘッダーパイプは、革新的な3Dモデリング技術により設計されています。その結果、回転数の全域で最適なパフォーマンスを発揮しつつ、深い轍を通過するための十分なクリアランスを確保するために非常にコンパクトに設計された完璧な形状となっています。

冷却システム

燃料タンク

7.2リットルのフューエルタンクは、人間工学に基づいたボディワークと見事に一体化し、その下にはアップデートされたラバークッションが備わり、フレームとの接触による摩耗を防いでいます。一体型フューエルポンプとフィルターにより、タンク内の燃料を完全に使い切ることができるため、より長時間乗り続けることができます。耐久性を向上するため、外部の燃料パイプは特別に配管され、露出を減らし、損傷を受けにくくしています。

電子燃料噴射

TC 250にはフューエルインジェクションシステムが導入され、多くの利点が提供されます。Vitesco製のECUはエンジンの動作条件を一定して分析し、最先端の39 mm Keihin製スロットルボディを通して、完璧な空気/燃料比を常に提供します。また、EFIは2つの異なるエンジンマップを導入しており、ハンドルバーに取り付けられたスイッチで簡単に起動して、走行をカスタマイズできます。マップ1は白色、マップ2は緑色にバックライトが光ります。さらに、設計が新しくなったリードバルブシステムは、吸気管の密封性を改善し、過度な燃料の蓄積を防止し、過酷なアップまたはダウンヒルでエンジンの滑らかな動作を可能にします。

セルスターター

TC 250はあらゆる条件で簡単に始動できるように信頼性の高いセルスターターが搭載され、キックスタートは完全に不要となっています。12.8V、2 Ahリチウムイオン電池はシートの下にぴったりと格納され、重心近くに配置されて、妥協のない操作性を実現しています。エンジンを停止するのもハンドルバーに搭載された同じスイッチで行うことができ、利便性が向上し、操作が簡素化されました。

マップ・セレクト・スイッチ

TC 250のフューエルインジェクション(EFI)によって、ライダーの能力に合わせた2つのエンジンマップが導入できます。マップ1（白）は直線的で予測可能なパワーを提供する一方、マップ2（緑）はよりアグレッシブで、迅速なスロットル応答と、切れの良い爆発的なパワー出力を提供します。ハンドルバーに搭載されたマップセレクトスイッチのボタンを押すだけで、ライダーは2つのオプションを切り替えて、マップを選択できます。

エンジンマネジメントシステム

エンジンマネジメントシステム(EMS)は、小型、軽量、高速にデータ処理できるように設計されています。安全性を高めるために、激しい衝突の際に点火を遮断し、エンジンをシャットオフするロールオーバーセンサー（ROS）を内蔵しています。

時間計

時間計には燃料レベルインジケーターが内蔵されており、ライダーはFIステータスLEDで視認でき、燃料レベルが低下したときには警告します。

始動/停止スイッチ

エンジン始動/停止一体型スイッチは、ハンドルバーの右側に配置され、親指で簡単に操作できます。エンジンの始動と停止がシンプルになっただけではなく、ハンドルバーから停止専用ボタンが削除されたことで、落下時の損傷や起動のリスクを軽減しています。